カテゴリー: デザインについて

デザイナー選びにお困りの方へ

デザイナーと一口に言っても様々なタイプのデザイナーさんがいます。今回は、デザイナーにお仕事の依頼をしたいけど、どう言った方に相談すれば良いのか。。というお悩みをお持ちのかたに少しでも参考になればと思い記事を書いてみようと思います。(デザイナー目線)

◼︎デザイナーとは?

Designer. デザイナー(英: designer)は、視覚領域において意匠計画や図案、設計を手掛ける人のこと。日本で単に「デザイナー」という場合、主に視覚的な設計を行う人物を指すことが多い。

 

◼︎ではデザインとは?

デザインの語源はデッサン(dessin)と同じく、“計画を記号に表す”という意味のラテン語designareである。
つまりデザインとは、ある問題を解決するために思考・概念の組み立てを行い、それを様々な媒体に応じて表現することと解される。wikipedia参照

その言葉の多く視覚部分に触れる設計ですが、設計という意味では単にビジュアルを作る人以外の人もデザイナーと名乗ることがあり、非常に広い意味合いで使われていますね。

 

◼︎デザイナーの種類って

今回はその中でも、最も認識されているであろうビジュアルの部分を主に担当するデザイナーについて

  • グラフィックデザイナー
  • DTPデザイナー
  • WEBデザイナー
  • エディトリアルデザイナー
  • プロダクトデザイナー
  • 衣装デザイナー
  • 空間デザイナー など

多くの肩書きがあります。

似ているようですが、デザインと一口に言っても様々なジャンルのデザインがあります。
チラシなどの広告物をデザインするデザイナー、商品をデザインするデザイナー。ホームページをデザインするデザイナー。
お仕事のジャンルや専門性によって、名乗る肩書きを区別されている方が多いです。他ジャンルのデザインを複数こなすデザイナーさんもいます。

 

いわゆる絵を上手く描く人と想像する方も多いかもしれません。
私はデザイナーと名のっていますがあまり絵が得意ではありません。独自のタッチを生かした個性のある絵を描く方はいわゆるイラストレーターさんですね。元々は製作会社などでデザイナーとして活躍されていてイラストも描ける人は名刺にデザイナー・イラストレーターと名乗っている方が多いです。

 

 

 

今回は紙媒体を通じた広告物や商品、WEBなどの商業をメインとしたグラフィックデザイナーと言われるデザイナーについて触れます。

◼︎デザイナーのタイプ

アシスタントレベルではなく一人のデザイナーとして一定以上のレベルでお仕事しているデザイナーであることを前提としても、例えば大きく3つのタイプに分けてみます。(私は同業種目線で大体この3タイプが多い気がします。)

 

1.職人タイプ

グラフィックソフトの使用を得意としスピーディーかつ要望に沿ったビジュアルを柔軟に作り出すデザイナー

 

2.コンサルタイプ

マーケティングやブランディングを理解し、コンセプト設計や戦略をデザインで表現出来るデザイナー

 

3.アーティストタイプ

独自のタッチや表現方法をもっているデザイナー

 

すべてをグラフィックデザイナーといって良いかわかりませんが、PCを使ってデザインをするという意味で名刺にグラフィックデザイナーと名乗っている人もいます。

 

1.2.3のタイプにもそれぞれデメリットもあります。一概には言えませんが
1職人タイプ、クオリティーの高いビジュアルを作ることはできるがコミュニケーションが弱いタイプの方もいたりします。そういう方と話をすると『人と話すのあんまり得意ではないです』って話よく聞きます。戦略設計に弱いタイプの方もいます。
2コンサルタイプ、デザイン料が平均的に高いです。デザイン以外の企画提案も作業の中に含まれる訳ですから当然安かろう良かろうにはなりません。また、指示付きのデザインや、矛盾したワークフローを持ち出すと断れる可能性もあります。
3.アーティストタイプ、自分の作り出すビジュアルに強いこだわりを持っているタイプが多いので上手く付き合わないと難しいタイプです。そして応用が利きにくいです。たくさんの球種がある訳ではないですがその反面直球はものすごく早いです。この直球を上手く使えないと効果が上がりにくいタイプで、某美大卒の賞を受賞した人と仕事したけど、もめちゃって全然仕事にならないよ。なんて嘆きの声もお客さんから聞いたことは何度かあります。。

 

さらにこのタイプの中にお仕事の業種やジャンルごとに経験に伴った専門的な知識をもったデザイナーがいます。IT系のみを専門としていたり飲食系のみを専門としていたり編集系に強いデザイナーさんであったり。経験上1の職人タイプのデザイナーさんは得意ジャンルと専門性をもっている(打ち出している)タイプの方が多いと思います。

 

 

◼︎必要なデザイナーを選ぶには、自分が出来ないことを理解する

ここで依頼者がデザイナーを選ぶときに重要なことは自分たちが出来ないことを理解することです。それだけでデザインの成果は大きく変わると思います。

売りたい商品があるとしましょう。あなたには、すでにその商品を売るためのノウハウがあって、商品ブランディングを構築するだけの計画があり、それに伴ったマーケティング戦略を立てることができている。あなたにはすでにビジョンがある。そのビジョンをデザイナーに的確に伝えることができるならば、多くのデザイナーはあなたが望む形のビジュアルを作ってくれると思います。
そういう方は、明確な絵が頭に浮かんでいてる場合、1職人、3アーティストデザイナーの作品をチェックしてイメージにあったデザイナーを選ぶべきこともできますし、2コンサルデザイナーと肩を並べてビジョンを組み立てていくこともできるでしょう。

 

しかし、すべての方がそういう風にビジョンを完璧に持つことも、的確に伝えることもできるわけではありません。
例えば長年寄り添った夫婦間では『例のあれやっといて』で『あれ』が何かわかる。そんな関係性を長年にわたりデザイナーと築けているなら話は別ですが、実際のところ初めて頼むデザイナーにそれを望んでも難しいです。初めてのデザイナーに『かっこよくして』と頼むということは初対面の人に『あれやっといて』ということと同じです。
だからデザイナーはコミュニケーションを大切にし、関係性や、市場など様々な背景を聞いてきたり、デザインに取り掛かる前段階のステップを持っていると思います。逆にこのステップなしにいきなりデザインに取り掛かるタイプは危険だと思います。。。

 

デザイナーとお仕事する上でこの伝達や企画を立てること、ディレクションする能力があるかないか?このあたりで大きく変わります。

このあたりの能力がない場合はディレクションのできるデザイナーとお仕事をするべきです。(アートディレクター、クリエイティブディレクターと名乗っている方もいます)
実際これができる人が少ないためアートディレクターという職業が成り立ちます。

 

ディレクターは誰?

アートディレクターとはビジュアルの決定権を持った言わば監督です。ビジュアルを作る上での戦略に深く関わり、スタッフの選定や、ビジュアルに関する指示、最終的な決定など高いレベルでデザインの知識(撮影やその他の知識も)が要求されます。通常デザイナーとして、多くの経験と実績を積まないとなれまない高域なお仕事です。(ドラクエで言うところの賢者みたいな感じですかね。わかりにくいか。。)

さて実際のお仕事ではビジュアルの決定権はクライアントにあります。しかし、デザインの専門知識のないクライアントが、最終的な修正や細かい色の指示を出したりします。

これってかなり危なくないですが?

本来この指示はアートディレクターと言われるビジュアルの監督が出す高域な領域なのに、専門知識のないクライアントが指示を出している状況=アートディレクターになってしまっています。
優秀なデザイナーはあなたとあなたのお客さんとの関係性を見てそれに見合ったデザインをしてくれているでしょう。しかしあなたが選んだデザインはあなたのお客さんではなくあなた好みのデザインになっている。

なんてことが起きているとあなたのお客さんが満足するような売れるデザインにはなりませんよ。(クラウドサービスを利用した場合、数あるデザインパターンの中から選定する目が必要になってくるので、デザインを作るデザイナーより選ぶ側のほうがデザイン能力が問われている、という事も頭に入れておかなければならないですね。理由はたくさんありますが、個人的にはコンペという提案方法をあまりおすすめできないです。)

 

 

安かろう悪かろうが高かろう悪かろうにならないように

また、デザイナーも基本的にはかかった時間に対しての報酬を要求しますので、こういうこと繰り返してると修正費用もかさみます。値段を基準に2のコンサルタイプの人に依頼できなかったけど、結果的に「修正費がかさんでしまって、同じくらいの料金になっちゃった。」なんてことになると悲しいですね。修正がかさむのは始めに戦略がないからです。
経験上、代理店さんの仕事に多いですが、修正かさむことよくあります。コンセプトワーク作りの料金提案を断れた結果、鉄砲の乱れ打ち状態になってしまっていたりするとそりゃ修正かさみますね。
直接的にやり取りができないのが、その原因だったりします。直クライアントさんとのやり取りで修正あっても1.2回です。修正料の発生はほぼ記憶にないです。
高かろう良かろうは、デザインにも当てはまります。修正少なくスムーズに、尚且つ的を得た効果的なデザインへの投資を怠って、余計な時間・コストかけちゃうと勿体ないですね。。

 

 

◼︎自分ができないことがわかれば、作品だけで判断せず、コミュニケーションを取ろう

「美味しい商品は作れる!だけど売り方や魅せ方がわからない。」
そんな場合は、2のようなコンサルタイプのデザイナーに、戦略から考えてもらい任せる方がより良い成果につながるでしょう。1.職人タイプのデザイナーに相談しながら、戦略を考えてみるのも良いかもしれません。

まずは、『自分ができないことをちゃんと知る。できないことを伝える。』これだけで、デザイナーとの関係性を築くスタートになります。そして、できないことに対しての答えをもっているデザイナーさんとお仕事をすると、より良い関係性と成果につながるのではないでしょうか。できないことを話しても、それに答えてくれない、相談に乗ってくれないデザイナーさんはあなたには向いていないのかもしれませんから。ただし対価が見合っていないと当然お話しを聞いてもらえない可能性はありますよ。

デザイナーを選ぶ理由として、実績だけではわからないことがたくさんあります。実績に対して、そのビジュアルだけを作ったのか、戦略から作ったかでは大きな違いがあります。まずは聞いてみること。コミュニケーションをとることで、そのデザイナーとの相性もきっと見えてくるし、コミュニケーション能力の高さも感じ取れるはずです。それぞれ不向きなところにも焦点をあてトラブルなきようお互い気持ちよく、より良い制作と効果のある成果物をゴールに目指してください。

それではデザイナー選びやお仕事参考のお役に立てば幸いです。

ちなみに私は2のタイプです。

FIRSTYGRAPHICS 泊裕一
http://firsty-g.com/

 

5.伝えること デザインでできること

スクリーンショット 2015-07-08 11.02.04

デザインでできること最後はその5=『伝えること』です。

ここまで『デザインでできること』では技術的な部分多く触れて記してしましたが、ビジュアルを構築する上で最も重要な要素は技術ではないです。

技術はあくまで装飾をきれいに見せるテクニックであり、極論を言えば、しっかりと機能したデザインであれば子供が書いた落書きでもよいのです。最も大切なことはそのビジュアルを通じてナニを伝えたいか?それが伝わる方法が最もふさわしいのが子供の落書きならそれが最も必要なデザインです。

そう言ってしまうと今までの技術的な話は意味がなくなってしまいますが、用は的を得たコンセプトがないと、いくら洗練されたデザインでもその効果が得られない。いわゆる機能をしないデザインになります。まずはそのコンセプトをしっかりと練り上げた上に今まで記したような技術を取り入れることで、より効果を得られるということです。

 

 

では、そのコンセプトを明確化するためにはどのようなことを行うか。

デザインの世界以外でもよく用いられる5H1W

・いつ(When)

・どこで(Where)

・誰に(Who)

・なぜ(Why)

・何を(What)

・どのように(How)

その中でも・誰に(Who) ・何を(What) ・どのように(How)この3点について触れてみたいと思います。

 

イメージ分布図

例えば、下記のような図を用いて

shouhin

 

その商品が持つ特性=何(What)とはどのような特徴なのかを探るために他社商品との関係性を図案化します。類似商品や対称商品の特徴を整理し、どのエリアに分布するのか?を図にすることで解り易くなり、新たな発見があるかも知れませんね。

 

 

 

 

 ターゲット別エリアマップ

さらに商品別ターゲットを検証し、誰に(Who)伝えたいのかを確認しながら

target

自社商品と他社商品の関係性を把握しながら、自社商品が目指す的確なターゲットエリアをさぐります。

 

 

 

 

 

類似ブランドとの競争

senryaku

例えば、既存の高級ブランドとの類似エリアの商品を開発している場合は、その類似=ライバル商品に対し、既に顧客に浸透しているイメージと同類のデザインイメージを利用しターゲットに伝えるための戦略が考えられます。

あるいは、そのエリア内で全く別のブランド価値を模索し差別化を見い出す、などのデザイン戦略を図ります。

 

 

 

対称エリアで差別化

tisho

イメージ分布図を用いればライバル商品の少ないエリアも明確化するため、他社との競合を避け「大人に憧れる若者に向けた新感覚商品」、若年層向けのクールなイメージエリアに着目した商品開発など、コンセプトから見直し戦略も考えられます。

こうしてお客様とともに確認し、共有を図りながらコンセプトを築き上げていきます。

そうした確認作業を繰り返し、出来上がったコンセプトをどのような媒体で商品化し、どのような形で発信していくのかを考えデザインに取り入れます。小さなことですが、この共有をしっかりと行い足並みを揃えることでプロジェクトの方向性に軸を作り、その軸を元に展開します。様々な展開物で的を外さないようにビジュアル軸を構築することで

間違えないデザインができます。

この展開=Howどのように発信するのか?
に繫がり、特性=何を(What)誰に(Who)というところをしっかりと見据えた軸があってこそ、どのような(How)発信方法が有効なのかを選択できるのです。

 

 

 

 

ターゲット

誰に(Who)という中でも、大まかに女性、若者層という絞り込みの中には様々なグループがあります。

 

ターゲット別集中力(時間と媒体とターゲット)

本来、人と言うのは集中力の維持が難しいので興味のない長い文章などを読むことはできません。

ただ、この集中力は興味によって変化します。興味のない参考書の文章は一行でも、もういいや。と僕ならなってしまいます。しかし、自分が好きな作家さんの小説や友達の手紙なら長い時間をかけても一気に読めたりしませんか?

例えばこの集中力をターゲット別に3つのグループに分けます。

grup

Aグループに情報量の多いチラシをデザインしたところで中々うまくいきません。それはまだ、入口にしかいないからです。こういったターゲットには情報のシンボライズ化が有効と言えます。いきなり多くの情報を文章で読ませたところでまず興味という入口に入っていないターゲットでは必ず失敗します。そのため、初見のターゲットが手にしたチラシ(短時間)には、まず興味を引くことができるビジュアルを考える。
そしてC既に利用したことがある=すでに興味があるということは、もっと知りたいターゲットと分類します。このターゲットは長い時間を掛けて情報を知ろうとするので多くの情報を取り込む集中力があります。このようなターゲットにはパンフレットやWEBで多くの情報をしっかりと整理したデザインが有効です。

このようにターゲット(who)をしっかりと想定するとどの情報(what)ビジュアルをどのような時間媒体(How)チラシ?WEB?で伝えるのかがより明確化し有効なデザインを考えることができます。

 

 

ビジュアルだからこそ伝わる

人は基本的に集中できない。と記しましたが、その短時間の集中で伝えることをデザインは可能にしてくれます。そしてそれはデザインの本質であると言っても過言ではないかも知れません。秀逸なデザインは言葉を越え、言葉を巻込むものだと思います。

言葉だけでは伝わらないこと

実際のお仕事からその例を抜粋させていただきます。
『伸びる服』
この言葉だけでは『伸びる』ってことは伸縮性の高い服というイメージになりますが、『伸びる』という言葉だけでは洗濯したときに伸びるというようなマイナスのイメージにも繋がるかもしれません。しかしこの言葉にこのようなアイコンを添えてみればどうでしょうか?
highkick
(DEEPER’S WEAR、HighKickシリーズの商品ブランドアイコン)
服の伸縮性という商品の利点が正しく伝わりますね。またこのアイコンを入れることにより文章を少なくし読み易くしているのです。余計な文章を削ぎ落としシンプルにするだけで、言葉が意味を瞬時に伝え、文章を読み易くするのです。

 

 

 

伝えることの裏側に隠されたコンセプトメイク。このコンセプトをしっかりと形にするために発信していく方法として記憶に残ることで触れた継続性や意外性が重要とされ、そして大切な商品情報を正しく伝えるための優先順位を整理し、読み易くすること、そして一つのビジュアルとして美しくすることで、より伝わるデザインとなると考えています。

コンセプトだけではなくまた技術だけでもなく、小さな一つ一つの要素を総合して伝わるデザインができ、そして機能します。

デザインは動くことも言葉を発することもない。しかし、人の言葉を代弁し、伝えるためにこそあるものだと考えています。私がデザインをするうえで最も大切にしていることは、デザインの先の相手を想像し、そこにコミュケーションがあることです。

 

 

あとがき

5回に分けてデザインについて触れてきた 『デザインでできること』

部分的ではありましたが、その技術や考えについて記してみました。

日々お客さまの抱える問題と対面し、どのようにすれば正しく伝わるのか?そのことにいつも頭をひねり創造する毎日です。人がどう思うか?という感情の部分に触れるデザイン。その答えはいつも不確かなものです。その不確かなものをカタチとし発信するための解は、自身の経験や知識、デザインという枠の中では収まりきれない世の中を知るということであるということに直面し、日々努力の毎日です。

先に触れた『子供が描いた絵』にハッとする。練り上げられたコンセプトよりも、不確かな一瞬に心奪われることもあるのがビジュアルです。言葉では説明のつかない力は確かにあります。デザインはアートとは違うものになると思いますが、理論や技術に溺れすぎない様にデザインと向き合っていかなければと最近はよく思うこともあったりします。

 

まだまだ微力ではありますが、何か皆様の手助けができれば幸いです。

 

 

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他記事へ
1.美しくすること

2.記憶に残ること

3.整理すること

4.読み易くすること

5.伝えること(現記事)

デザインでできること

 

 

4.読み易くすること デザインでできること

スクリーンショット 2015-07-08 11.02.04

 

デザインでできることその4=読み易くすること

読み易くするためには文字を大きくすればいい。確かにその通りですが、単純にそうではないです。

記載できる情報量が多くなると、文字を大きくすると収まりきれない場合もあります。

主に文章と簡易表があるブランディングのプレゼン資料が仮にあったとします。

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まずはなにもしない資料、文章量が多くてなんだか読む気しないなあ…と思いませんか?

実際にこれを読み易くしていきましょう。

 

 

文字の大きさ

文字と言うのは大きければ読み易いというわけではなくきっちりと整理して大小をつけることにより読み易くなります。また文章は行間を整えるとさらに読み易くなります。

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文字の大小をしっかりとつけて、行間を調整した物です。余白もとれてなんだかすっきりしましたね。

 

 

文字(FONT)を選ぶ

文章には大きさに応じて適した文字と太さがあります。
y6

文字を小さくした分、漢字が見にくくなってしまいました。このように文章の文字を小さくするとき、または長文の際は

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細めの文字を使用します。

y20

または明朝体で!!

明朝体は小さな文字や長文での可読性に優れ、読み手の疲労を軽減させる書体と呼ばれています。新聞や小説などの主に文章のみの媒体によく用いられていますね。

逆に見出しやタイトルなどインパクトを与えたい情報には太い文字が有効です。

 

字間

文字間を調整します。

見出しとなる文章の文字の間隔を狭くします。

英語や()などの約物の余計なスペースを埋めます。

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どうでしょうか?

見出しのブランディング、特にディンの部分の余計な空白がなくなりよりタイトルらしくまとまりました。これとは逆に空白をあえて空ける方法もありますが、それはデザインや伝えたい内容によって使い分けしたりします。
また()等の間に余計なスペースがなくなり横に読むと流れが良くなりますね。
このbefore、Afterでは文章の端もそろえています。beforeに比べafterは右端もそろっていて気持ちよいです!

その他、文字間で気をつけることが多いのが数字です。

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とくに”1″は前後に余計な空間が出来易い字です。

名刺などの電話番号などは必ず調整しています。

 

 

文字(FONT)選びその2

文字には等幅フォントとプロポーショナルフォントというものがあり、字の幅が均一かそうでないかという違いです。プロポーショナルフォントの方が美しく自然な形をしているので可読性に優れ文章や見出しにも向いています。

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等幅フォントなんて見にくいし、いいとこなし!使えないよ!

ということはなく、等幅フォントにも向いた状況はあります。

何もする前の資料です。

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最初は箇条書きと表の部分全てプロポーショナルフォントの明朝体を使用しています。

 

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プロポーショナルフォントでは表の中の英数値と表の下の英数字がガタガタで揃っていなくてなんだか見づらいですね

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等幅フォントだと一目瞭然!綺麗にそろって見やすい!!

 

英字フォント

英字フォントはオシャレなフォントや力強いフォントなど色々な形があって面白いですね。英字フォントを選ぶ基準として女性らしいデザイン=かわいいフォント等、デザインに合わせ雰囲気の合っているフォントを選びますが、ここにも不向きがあります。

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この二点のフォントをポスターのタイトルとして選んだとします。ポスターは遠くからでも見えるようにすることが大切です。

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遠くからぼんやり見た時に下のフォントではaとoが混合してしまい紛らわしいですね。この場合は上のフォントが適切といえます。

文字の形や特徴をしっかりと把握してユーザーの環境に合わせた書体選びが大切だと考えています。

 

 

 

合成フォント

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この文章では合成フォントといって、色々な文字を組み合わした文字を使用しています。私がよく使う、漢字=新ゴシック、かなカナ=ネオツデイ、英字=Helvetica_Neueの組み合わせです。かなカナ=ネオツデイは新ゴシックよりも形が柔らかく文章によいリズムがつき読み易くなります。英字も新ゴシックはカクカクしているのでHelvetica_Neueの方が美しいです。

 

文字を選ぶ基準は環境やアウトプットによって変化し、それぞれ適正なフォントを心掛けて選んでいます。プレゼン資料は基本的にはゴシック系を選びます。プロジェクターなどでスクリーンに映し出すことも想定した場合、モニター上ではゴシックの方が適しているからです。

印刷物でも印刷方法により大きく変わります。オフセットなら気にしない点も、シルクスクリーンや箔押しなら文字潰れが起きる場合もあります。紙種でも同様。

かっこいいという理由だけではなく、読み易くするための小さな工夫も考えてデザインしています。

 

 

最後にbeforeと最終形を見比べてみてください。

before

y28

 

 

after

 

 

y26

どちらがプレゼン資料として先方に喜ばれるでしょうか?

その4『読み易くすること デザインでできること』でした。

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デザインでできること

3.整理すること デザインでできること

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デザインでできることその3整理すること

前回記憶に残ることでも少し触れましたが、整理すること=情報の整理です。伝えたい事柄、記憶に残したい事柄を整理し、ユーザーの理解を目指します。

 

優先順位

人が記憶できる領域には個人差がありますが、まず多くの情報を記憶することは困難です。そのため、あれもこれもと情報をつめこんだところで必ず失敗します。

そこで順位をしっかりと考えて整理することが大切です。またそれは媒体やそのユーザーの興味によって左右されます。

 

イベント会場で配られたチラシと?ゆっくりと座れるカフェで配られたチラシならどちらがゆっくり見れるでしょうか?

もちろん後者です。つまり前者でそのチラシに目を通す時間は非常に短いと考えられます。そのため、そのチラシ全面に多くの情報を入れたところで意味がありません。まずそのような短時間が予想されるチラシでは興味を引く入り口を一つだけ作ることが大切です。そのため情報の整理は要素を少なくし、重要度TOP1.2の情報のみをまずは目立つように整理する必要性があります。そしてその情報は文字だけではなく絵や写真のビジュアル要素が有効でしょう。

後者の場合(カフェ)は比較的落ち着いてチラシをみれるので情報料を多くできるものでもあります。

 

短時間

ポスター・看板

 

中時間

チラシ・フライヤー

 

長時間

WEB・カタログ

 

ここで簡単に展示会ポスターのレイアウトを3パターン考えてみました。

画像1

a

 

画像2

b

 

画像3

c

 

 

それぞれ適したレイアウトはどれでしょうか?

A.展示会前に店舗などで目立つよう高い位置に張られたポスター

B.駅構内に張られたポスター

C.展示会当日の会場前に看板として立てるポスター

 

 

a

画像1=まずタイトルがレイアウトされ、展示内容がその下、ポスターの縦中央付近にレイアウトされています。当日、立ち寄った来場者の興味が引けるようにこの情報を目立つようにしています。またビジュアルもポスター全体にレイアウトされポスター全体にイメージ要素イラストが広がっています。そして展示会情報、では時間(10:00〜17:00)とホール(A-3ホール)の文字が強調され大きくされています。

このレイアウトは「C.展示会当日の会場前に看板として立てるポスター」を想定して作成しています。

展示会開催情報はもう既にそこに足を運んでいる来場者がみるものですから時間とホール情報 以外の開催日•住所などは削除しても良いくらいの情報になります。また、当日に立て看板としてあるポスターですので目線は同じ高さ〜少し低い目線になりますので中央付近に情報と魅力をレイアウトし、来場者の興味を引けるようにしています。

 

b

画像2=文字要素はタイトルのみを左上〜中央あたりにレイアウトし、ビジュアル要素となるイラストを含めポスター全体の3分の2くらいでまとめています。そして下部分3分の1に情報を固めています。

このレイアウトは「A.展示会前に店舗などで目立つよう高い位置に張られたポスター」を想定して作成しています。

高い位置に張られるポスターなので、上部分には展示会の魅力を伝えるイメージ要素をメインにし、読ませたい情報は見上げなくても読みやすいよう下部分に固めてレイアウトしています。店舗に張られたポスターということで時間としても中時間ですので、文字のまとめ方もしっかりと告知しておいても読んでもらえます。

 

c

画像3=最後に「B.駅構内に張られたポスター」を想定したものです。歩行中に目にする物ですから横向きで少しでも視界に入るように横向きでレイアウトしています。

また、駅構内という条件は目にする時間として短時間ですのでタイトルの近くの目立つ場所に開催日を、そしてまた3パターンの中で最も本文コピーを大きくしています。会場情報開催時間は詳細としてまとめています。この段階ではまず詳細情報よりも展示会の魅力と最低限の情報日程を伝えるためのレイアウトを考えてみました。短時間=この記事前半でふれていた興味を引く入り口を強調しています。

 

三点とも少し極端なレイアウトでしたが、このようにポスターを見る人の状況、時間や位置、今回触れていませんが距離、サイズ、季節、興味などによってレイアウトも変わっていきます。状況に応じて正しく情報を伝える整理術、優先順位を常に考えることにより、より効果的なPRに繋がります。あれもこれもが失敗の原因にならないように情報整理から考えてデザインに取り入れています。

 

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2.記憶に残ること デザインで出来ること

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前回ブログその1『美しくすること』に続いて

今回はその2『記憶に残ること』について書きたいと思います。

憶えてもらうということは広告にとって大きな効果です。そのためにはどういう手段が必要なのか?

コンビ二で「カロリーメイトを買ってきて。」と友人に頼まれたとします。あなたはお菓子コーナーの中のカロリーメイトをどうやって見つけますか?黄色の箱を探しませんか?

頭の中にある商品の色や形で判断して探すこと=デザインで商品を判断しています。これは黄色い箱に入っているという記憶が頭の中にあるからです。

理由は様々ですが、何か憶えているものってありますよね。

その理由についてちょっと考えてみたいと思います。

この例えに出したカロリーメイト=黄色という記憶があるのはこの商品の特徴であり、発売からこのイメージを大切にし、変わることなく継続的に構築したブランド力がなせる効果です。(ロゴ、宇宙食を想像させるようなフォルムも素晴らしい。実はこのカロリーメイトは発売以来ほとんど改変されていない優れたオリジナルデザインであり、私も本当に大好きなデザインで、このブランド力の強さこそ理想とする指標でもあります。)

そしてこのカロリーメイトには記憶に残る要素、意外性、継続性を兼ね備えているところがすごいですね。

カロリーメイトの話はさており、知っているということが売り上げにつながる。知られているってことはものすごく有利なことですよね。では、知っているを目指すためにデザインで行う工夫を紹介します。

 

継続性

ブランディングにおけるアイデンティティ構築には記憶の連鎖を意識したデザインを考えます。

企業の顔ともいえるロゴマークやコーポレートカラーはweb、名刺、販促ツール等、どの媒体においても同じ使われ方をしており、統一性が保たれた展開がなされている。常に同じ見せ方を心がけることにより、チラシだけを見た人の記憶にwebデザインが同じ形で見えることで記憶の連鎖がおこり、覚えていなくても見たことあるかも。という判断になります。こういう小さな積み重ねが重要です。

○統一性のあるデザイン(道が一本化)

スクリーンショット 2015-09-28 17.04.54

×統一性のないデザイン(道が分岐化)

スクリーンショット 2015-09-28 17.05.37

また、この連鎖はビジュアルだけではありません。例えば、あの企業は破天荒なことをする企業だ!という印象もアイデンティティの一つ。こういう変化のあるアイデンティティ構築に対してはデザインも見た目の統一性はなくても毎回驚くようなインパクトのあるものを考える。これも一つの統一です。

連続して同じことを繰り返すことは、人の記憶に残るためにはとても有効な手段です。

 

 意外性

一冊の本があります。その本は活字で200ページ。その中の1ページ一言だけ青字でアメリカという単語があったとします。その本を読んだ後に登場人物や事柄よりもその青字の一つの単語アメリカを思い出す方が容易でしょう。

つまり記憶に残っています。なぜ残っているのか。それは平坦な中の変化だからです。

(ちなみに青という色は記憶に残りやすい色と言われています。)

この原理をデザインに置き換えてみましょう。赤いお菓子が陳列する商品棚に一つだけ青いお菓子が売られていたら?印象に残りますね。印象に残る商品が売れるかは別の話ですが、こういった一般的イメージ=記憶の中に何らかの変化を探すことによりインパクトを生むことは可能です。

スクリーンショット 2015-09-28 17.15.51

本の話に戻ります。この本の中にアメリカ以外に30個の単語が青字で書かれていたとしましょう。青字で書かれた変化をすべて記憶することは可能でしょうか?記憶力のいい方は憶えることはできるでしょうが、私はあんまり自信ないですね。。。

情報料が多くなると人は記憶しきれませんね。そのために、デザインでは伝えたい、記憶に残したい情報を整理し順序立てて目出させる工夫(変化)をつけます。この順位をつけ整理しながら必要な情報を削っていくことを私はデザインの引き算と言っています。

 

 

このように記憶に残るためには同じであることを連続して構築すること。=継続性
連続性の中に変化を作ることで記憶に残る=意外性
様々な情報や人々のイメージを利用して戦略を組み立てることにより記憶に残るデザインを目指します。

またこの人々の記憶=イメージを応用し、市場調査→差別化戦略を立てたり、アイデンティティ構築などの様々なデザイン戦略の一部として応用しています。

今回はその記憶に残るためのデザインを作るうえで考えていることの一部を紹介させて頂きました。記した内容はごく当たり前のことですが、以外とこういう小さなルールは見落としがち。このルールをしっかりと守り、企業のあり方や商品イメージをぶれさせなくするためにデザイナーが入っていたりするんですね。

 

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1.美しくすること デザインで出来ること

スクリーンショット 2015-07-08 11.02.04

今期クリエポではこんなメッセージを引っさげて会期に望みました。

今回はその1『美しくすること』について触れていきたいと思います。

デザインと聞いて美しいということは連想され易いイメージと思います。

綺麗で洗練されているものを見ると美しいと感じます。これは感性の部分に大きく影響し感じる物だと思います。今回は直感的に感じる美しさ=抽象的・感性の部分もデザインとして大切ですが、デザインの美しく見える技術的な部分について一部かきます。

デザインをする時にはアウトプットに合わせて小さな工夫が施されています。その実例を少し紹介します。

アイコンデザイン

実際に作ったアイコンです。全6タイプシリーズ化のこのアイコンデザインでは統一性を持たせるためのツクリのルールを設けました。

スクリーンショット 2015-08-14 15.35.07

角のアール部分に一定の定められたサイズの円を用いアールの統一を図ります。

また、ピクトから伸びる腕の角度や足の角度にも30°45°60°120°と角度のルール基準を設けます。

そしてブラウジングを意識しピクセル数値は偶数で設計します。実際に使用される際に拡大縮小した際ピクセル表示では奇数のオブジェクトは割り切れないため下図のように比率が変化してしまいます。

スクリーンショット 2015-08-14 16.47.18

比率が変化するとオブジェクトが意図したサイズにならずわずかに左右どちらに偏ってしまったりなど正確な形を保つことができません。

このような技術はロゴデザインやフォントデザインにも応用しています。

 

 

食品写真色補正

トマトの画像です。少し色味が濁っていて鮮度に欠けている様にも見えます。0813013810

少し全体的な彩度を上げて明暗のバランスを大きくします。

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画像は少し極端にしていますが、より新鮮で美味しそうに見えます。

色のバランスを少し変えるだけでも写真は美しく変化します。

 

印刷の黒

印刷では通常4色CMYKのインクで印刷されます。黒を印刷する場合、それぞれ紙や用途に合わせて使い分けをします。黒といっても一つではないんですね。文字や細かな印刷をする場合、黒100%単色の黒(墨べた)が適しています。1色1版にすることでズレが起きる可能性がないためです。

そしてもう一つの黒がリッチブラックと言われる黒です。黒いインクにその他のカラーインクを足して黒を表現します。墨べたに比べ締まりのある深い黒になります。背景などベタ面に適しよりムラなく仕上げることができます。 紙によってはインクが乗り辛い紙があります。画面上では同じ色なのに印刷ではこういった一工夫がより美しい仕上がりに影響してきます。黒以外の色でも2色で作れる色を4色で作ることもあります。また、デザインによっては白引きなど色を入れる前に白を一旦印刷してから印刷を行うなどの方法もあります。

印刷は変化する
印刷の黒について触れましたが、紙種によってインクが沈みやすい(思い通りの発色にならない紙があります。)以前にあった事例から、濃色の紙にオフセット印刷で白を印刷した時よりもシルバーを印刷した場合の方がより明るい色になりました。これはインクの粒子が粗いシルバーの方が紙に対してインクの沈みがなかったことによる現象です。白を綺麗に魅せたい場合はオフセットではなくシルク印刷が適切であると判断します。

 

 

このようにデザインではアイデアだけではなく、ちょっとした工夫で感覚的でなく絶対的に美しくみせる技術があります。その技術を用いビジュアルイメージを確実に美しくすることが出来るのです。あくまでこれらの技術面は基本であり、この基本を持って新たにビジュアルイメージを考えます。それを支える技術のほんの一部を紹介させて頂きました。

デザインご相談はhttp://www.firsty-g.com/

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