月別: 2015年8月

ロゴデザインってダレに伝えてるの?

先日、デザイン看板施工の会社ロゴデザインを納品しました。

今回はそのストーリーについてお話します。

色々ヒアリングや調査をした結果、何案か提案を出しました。

画像はその内の2案です。(他提案は省略)

A案

スクリーンショット 2015-08-29 15.49.12

B案

スクリーンショット 2015-08-29 15.50.55

A案は看板の文字と会社の頭文字から出来た、解り易いロゴです。シンプルさの中にかわいさも入ったエンドユーザーが馴染み易い様に考えた提案です。

B案は老舗を目指す。というコンセプトの元、少し敷居が高く感じられるロゴです。

(コンセプト省略)

ここで、パッとみて解り易いのはA案だと思います。ロゴデザインにおいて解り易さというのは重要な点ですね。看板をモチーフにしていることからエンドユーザーも用意にその職種を創造できると思います。

しかし、結果的に決まったのはA案ではなく、B案です。

何故、B案なのか?ここにデザインがどう機能しているかと言うストーリーをお話します。

企業されて、この会社の社長さんがやりたい事や、会社体勢を形にした結果、現状の会社に相応しいのはA案であると説明しました。B案は現状よりも背伸びした提案であるという点も伝えました。ただ私は、会社の捕われ方だけを見るのではなく、経営に対する信念と人を見ました。現状では老舗というコンセプトは背伸びになるかも知れないが、将来そこに近づけるマインドを形にするという選択があったからです。

会社はダレのもの?

経営を左右するのに最も大切なもの、それはお客さま(私の立ち位置からはエンドユーザー)、社長。確かにどちらも大切ですが、最も大切なことは実際に働く従業員だと考えました。これは私がフリーランス、一人の経営者として考えていることでもあります。お客さまを大切にするために満足頂けるサービスを提供する必要があります。これが出来るのは従業員であり、このマインドを高く持っていることが企業の成長に繫がると自信痛感しています。人はやる気です。こういってしまうと浅はかな感じもしますが、ナニをするにもシンプルにやる気が大切なんです。

このB案のロゴはこのマインドに触れています。現状の立ち位置でなく目指すべく未来の立ち位置。それに近づけるための目標としてのロゴデザイン、マインドアイデンティに触れた考え方です。そういう目標が形となり、働くマインドに繫がる、それも一つのデザインの形ではないかと思います。人を見て会社を見てデザイン提案をする。そしてその未来を選んだのはデザイナーではなくこの社長さんです。

このロゴデザインは未来を創造したデザインなのです。

 

今の現状、ありのままの形をエンドユーザーに伝えること、パッとみてわかるデザインは秀逸です。しかし他と似た様な形になる場合もあります。

デザインの矢印はどこを向いているか。どうしてこの形なんだろうというロゴデザインも世の中にはたくさんあります。そのデザインにはこういったストーリーが隠されているかもしれませんね。というお話でした。

 

このロゴを使った名刺もデザインさせていただきました。

IMG_0315aIMG_0319

300k越えのディープマット特圧紙に特色焦茶活版。紙の厚みを活かした小口染め。

活版とインクの焦茶の風合いがまるで鉄板で焦がした様に絶妙な風合いとなり、刷られているというより刻まれているという感じのまさに社長の熱意表明に私にはうつりました。

 

最後にこの社長さんは私にこう言ってくれました。

「このロゴを堂々と掲げれる様に頑張っていきたい。そしていいスタートをきれそうです。」

 

 

補足

天下一品の広告では、社長さんが好きと言う理由でタレントのベッキーさんを起用していましたね。天下一品のイメージから解り易さやイメージ統一を図るならベッキーさんは相応しくないのかも知れません。しかし、この話しはストーリーとして語り継がれ、ファンというエンドユーザーに深く浸透し、そこから天下一品を食べたことのない層にも広がりました。エンドユーザーに対しての解り易さやコンセプトだけではない、デザインの常識だけに捕われすぎない様に、視野を広くもってデザインと向き合っていきたいなあと最近は良く思います。

 

www.firsty-g.com

 

 

 

 

1.美しくすること デザインで出来ること

スクリーンショット 2015-07-08 11.02.04

今期クリエポではこんなメッセージを引っさげて会期に望みました。

今回はその1『美しくすること』について触れていきたいと思います。

デザインと聞いて美しいということは連想され易いイメージと思います。

綺麗で洗練されているものを見ると美しいと感じます。これは感性の部分に大きく影響し感じる物だと思います。今回は直感的に感じる美しさ=抽象的・感性の部分もデザインとして大切ですが、デザインの美しく見える技術的な部分について一部かきます。

デザインをする時にはアウトプットに合わせて小さな工夫が施されています。その実例を少し紹介します。

アイコンデザイン

実際に作ったアイコンです。全6タイプシリーズ化のこのアイコンデザインでは統一性を持たせるためのツクリのルールを設けました。

スクリーンショット 2015-08-14 15.35.07

角のアール部分に一定の定められたサイズの円を用いアールの統一を図ります。

また、ピクトから伸びる腕の角度や足の角度にも30°45°60°120°と角度のルール基準を設けます。

そしてブラウジングを意識しピクセル数値は偶数で設計します。実際に使用される際に拡大縮小した際ピクセル表示では奇数のオブジェクトは割り切れないため下図のように比率が変化してしまいます。

スクリーンショット 2015-08-14 16.47.18

比率が変化するとオブジェクトが意図したサイズにならずわずかに左右どちらに偏ってしまったりなど正確な形を保つことができません。

このような技術はロゴデザインやフォントデザインにも応用しています。

 

 

食品写真色補正

トマトの画像です。少し色味が濁っていて鮮度に欠けている様にも見えます。0813013810

少し全体的な彩度を上げて明暗のバランスを大きくします。

0813013810a

 

画像は少し極端にしていますが、より新鮮で美味しそうに見えます。

色のバランスを少し変えるだけでも写真は美しく変化します。

 

印刷の黒

印刷では通常4色CMYKのインクで印刷されます。黒を印刷する場合、それぞれ紙や用途に合わせて使い分けをします。黒といっても一つではないんですね。文字や細かな印刷をする場合、黒100%単色の黒(墨べた)が適しています。1色1版にすることでズレが起きる可能性がないためです。

そしてもう一つの黒がリッチブラックと言われる黒です。黒いインクにその他のカラーインクを足して黒を表現します。墨べたに比べ締まりのある深い黒になります。背景などベタ面に適しよりムラなく仕上げることができます。 紙によってはインクが乗り辛い紙があります。画面上では同じ色なのに印刷ではこういった一工夫がより美しい仕上がりに影響してきます。黒以外の色でも2色で作れる色を4色で作ることもあります。また、デザインによっては白引きなど色を入れる前に白を一旦印刷してから印刷を行うなどの方法もあります。

印刷は変化する
印刷の黒について触れましたが、紙種によってインクが沈みやすい(思い通りの発色にならない紙があります。)以前にあった事例から、濃色の紙にオフセット印刷で白を印刷した時よりもシルバーを印刷した場合の方がより明るい色になりました。これはインクの粒子が粗いシルバーの方が紙に対してインクの沈みがなかったことによる現象です。白を綺麗に魅せたい場合はオフセットではなくシルク印刷が適切であると判断します。

 

 

このようにデザインではアイデアだけではなく、ちょっとした工夫で感覚的でなく絶対的に美しくみせる技術があります。その技術を用いビジュアルイメージを確実に美しくすることが出来るのです。あくまでこれらの技術面は基本であり、この基本を持って新たにビジュアルイメージを考えます。それを支える技術のほんの一部を紹介させて頂きました。

デザインご相談はhttp://www.firsty-g.com/

他記事へ
1.美しくすること

2.記憶に残ること

3.整理すること

4.読み易くすること

5.伝えること

デザインでできること