先日、デザイン看板施工の会社ロゴデザインを納品しました。
今回はそのストーリーについてお話します。
色々ヒアリングや調査をした結果、何案か提案を出しました。
画像はその内の2案です。(他提案は省略)
A案
B案
A案は看板の文字と会社の頭文字から出来た、解り易いロゴです。シンプルさの中にかわいさも入ったエンドユーザーが馴染み易い様に考えた提案です。
B案は老舗を目指す。というコンセプトの元、少し敷居が高く感じられるロゴです。
(コンセプト省略)
ここで、パッとみて解り易いのはA案だと思います。ロゴデザインにおいて解り易さというのは重要な点ですね。看板をモチーフにしていることからエンドユーザーも用意にその職種を創造できると思います。
しかし、結果的に決まったのはA案ではなく、B案です。
何故、B案なのか?ここにデザインがどう機能しているかと言うストーリーをお話します。
企業されて、この会社の社長さんがやりたい事や、会社体勢を形にした結果、現状の会社に相応しいのはA案であると説明しました。B案は現状よりも背伸びした提案であるという点も伝えました。ただ私は、会社の捕われ方だけを見るのではなく、経営に対する信念と人を見ました。現状では老舗というコンセプトは背伸びになるかも知れないが、将来そこに近づけるマインドを形にするという選択があったからです。
会社はダレのもの?
経営を左右するのに最も大切なもの、それはお客さま(私の立ち位置からはエンドユーザー)、社長。確かにどちらも大切ですが、最も大切なことは実際に働く従業員だと考えました。これは私がフリーランス、一人の経営者として考えていることでもあります。お客さまを大切にするために満足頂けるサービスを提供する必要があります。これが出来るのは従業員であり、このマインドを高く持っていることが企業の成長に繫がると自信痛感しています。人はやる気です。こういってしまうと浅はかな感じもしますが、ナニをするにもシンプルにやる気が大切なんです。
このB案のロゴはこのマインドに触れています。現状の立ち位置でなく目指すべく未来の立ち位置。それに近づけるための目標としてのロゴデザイン、マインドアイデンティに触れた考え方です。そういう目標が形となり、働くマインドに繫がる、それも一つのデザインの形ではないかと思います。人を見て会社を見てデザイン提案をする。そしてその未来を選んだのはデザイナーではなくこの社長さんです。
このロゴデザインは未来を創造したデザインなのです。
今の現状、ありのままの形をエンドユーザーに伝えること、パッとみてわかるデザインは秀逸です。しかし他と似た様な形になる場合もあります。
デザインの矢印はどこを向いているか。どうしてこの形なんだろうというロゴデザインも世の中にはたくさんあります。そのデザインにはこういったストーリーが隠されているかもしれませんね。というお話でした。
このロゴを使った名刺もデザインさせていただきました。
300k越えのディープマット特圧紙に特色焦茶活版。紙の厚みを活かした小口染め。
活版とインクの焦茶の風合いがまるで鉄板で焦がした様に絶妙な風合いとなり、刷られているというより刻まれているという感じのまさに社長の熱意表明に私にはうつりました。
最後にこの社長さんは私にこう言ってくれました。
「このロゴを堂々と掲げれる様に頑張っていきたい。そしていいスタートをきれそうです。」
補足
天下一品の広告では、社長さんが好きと言う理由でタレントのベッキーさんを起用していましたね。天下一品のイメージから解り易さやイメージ統一を図るならベッキーさんは相応しくないのかも知れません。しかし、この話しはストーリーとして語り継がれ、ファンというエンドユーザーに深く浸透し、そこから天下一品を食べたことのない層にも広がりました。エンドユーザーに対しての解り易さやコンセプトだけではない、デザインの常識だけに捕われすぎない様に、視野を広くもってデザインと向き合っていきたいなあと最近は良く思います。
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