前回ブログその1『美しくすること』に続いて
今回はその2『記憶に残ること』について書きたいと思います。
憶えてもらうということは広告にとって大きな効果です。そのためにはどういう手段が必要なのか?
コンビ二で「カロリーメイトを買ってきて。」と友人に頼まれたとします。あなたはお菓子コーナーの中のカロリーメイトをどうやって見つけますか?黄色の箱を探しませんか?
頭の中にある商品の色や形で判断して探すこと=デザインで商品を判断しています。これは黄色い箱に入っているという記憶が頭の中にあるからです。
理由は様々ですが、何か憶えているものってありますよね。
その理由についてちょっと考えてみたいと思います。
この例えに出したカロリーメイト=黄色という記憶があるのはこの商品の特徴であり、発売からこのイメージを大切にし、変わることなく継続的に構築したブランド力がなせる効果です。(ロゴ、宇宙食を想像させるようなフォルムも素晴らしい。実はこのカロリーメイトは発売以来ほとんど改変されていない優れたオリジナルデザインであり、私も本当に大好きなデザインで、このブランド力の強さこそ理想とする指標でもあります。)
そしてこのカロリーメイトには記憶に残る要素、意外性、継続性を兼ね備えているところがすごいですね。
カロリーメイトの話はさており、知っているということが売り上げにつながる。知られているってことはものすごく有利なことですよね。では、知っているを目指すためにデザインで行う工夫を紹介します。
継続性
ブランディングにおけるアイデンティティ構築には記憶の連鎖を意識したデザインを考えます。
企業の顔ともいえるロゴマークやコーポレートカラーはweb、名刺、販促ツール等、どの媒体においても同じ使われ方をしており、統一性が保たれた展開がなされている。常に同じ見せ方を心がけることにより、チラシだけを見た人の記憶にwebデザインが同じ形で見えることで記憶の連鎖がおこり、覚えていなくても見たことあるかも。という判断になります。こういう小さな積み重ねが重要です。
○統一性のあるデザイン(道が一本化)
×統一性のないデザイン(道が分岐化)
また、この連鎖はビジュアルだけではありません。例えば、あの企業は破天荒なことをする企業だ!という印象もアイデンティティの一つ。こういう変化のあるアイデンティティ構築に対してはデザインも見た目の統一性はなくても毎回驚くようなインパクトのあるものを考える。これも一つの統一です。
連続して同じことを繰り返すことは、人の記憶に残るためにはとても有効な手段です。
意外性
一冊の本があります。その本は活字で200ページ。その中の1ページ一言だけ青字でアメリカという単語があったとします。その本を読んだ後に登場人物や事柄よりもその青字の一つの単語アメリカを思い出す方が容易でしょう。
つまり記憶に残っています。なぜ残っているのか。それは平坦な中の変化だからです。
(ちなみに青という色は記憶に残りやすい色と言われています。)
この原理をデザインに置き換えてみましょう。赤いお菓子が陳列する商品棚に一つだけ青いお菓子が売られていたら?印象に残りますね。印象に残る商品が売れるかは別の話ですが、こういった一般的イメージ=記憶の中に何らかの変化を探すことによりインパクトを生むことは可能です。
本の話に戻ります。この本の中にアメリカ以外に30個の単語が青字で書かれていたとしましょう。青字で書かれた変化をすべて記憶することは可能でしょうか?記憶力のいい方は憶えることはできるでしょうが、私はあんまり自信ないですね。。。
情報料が多くなると人は記憶しきれませんね。そのために、デザインでは伝えたい、記憶に残したい情報を整理し順序立てて目出させる工夫(変化)をつけます。この順位をつけ整理しながら必要な情報を削っていくことを私はデザインの引き算と言っています。
このように記憶に残るためには同じであることを連続して構築すること。=継続性
連続性の中に変化を作ることで記憶に残る=意外性
様々な情報や人々のイメージを利用して戦略を組み立てることにより記憶に残るデザインを目指します。
またこの人々の記憶=イメージを応用し、市場調査→差別化戦略を立てたり、アイデンティティ構築などの様々なデザイン戦略の一部として応用しています。
今回はその記憶に残るためのデザインを作るうえで考えていることの一部を紹介させて頂きました。記した内容はごく当たり前のことですが、以外とこういう小さなルールは見落としがち。このルールをしっかりと守り、企業のあり方や商品イメージをぶれさせなくするためにデザイナーが入っていたりするんですね。
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