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デザインでできること最後はその5=『伝えること』です。

ここまで『デザインでできること』では技術的な部分多く触れて記してしましたが、ビジュアルを構築する上で最も重要な要素は技術ではないです。

技術はあくまで装飾をきれいに見せるテクニックであり、極論を言えば、しっかりと機能したデザインであれば子供が書いた落書きでもよいのです。最も大切なことはそのビジュアルを通じてナニを伝えたいか?それが伝わる方法が最もふさわしいのが子供の落書きならそれが最も必要なデザインです。

そう言ってしまうと今までの技術的な話は意味がなくなってしまいますが、用は的を得たコンセプトがないと、いくら洗練されたデザインでもその効果が得られない。いわゆる機能をしないデザインになります。まずはそのコンセプトをしっかりと練り上げた上に今まで記したような技術を取り入れることで、より効果を得られるということです。

 

 

では、そのコンセプトを明確化するためにはどのようなことを行うか。

デザインの世界以外でもよく用いられる5H1W

・いつ(When)

・どこで(Where)

・誰に(Who)

・なぜ(Why)

・何を(What)

・どのように(How)

その中でも・誰に(Who) ・何を(What) ・どのように(How)この3点について触れてみたいと思います。

 

イメージ分布図

例えば、下記のような図を用いて

shouhin

 

その商品が持つ特性=何(What)とはどのような特徴なのかを探るために他社商品との関係性を図案化します。類似商品や対称商品の特徴を整理し、どのエリアに分布するのか?を図にすることで解り易くなり、新たな発見があるかも知れませんね。

 

 

 

 

 ターゲット別エリアマップ

さらに商品別ターゲットを検証し、誰に(Who)伝えたいのかを確認しながら

target

自社商品と他社商品の関係性を把握しながら、自社商品が目指す的確なターゲットエリアをさぐります。

 

 

 

 

 

類似ブランドとの競争

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例えば、既存の高級ブランドとの類似エリアの商品を開発している場合は、その類似=ライバル商品に対し、既に顧客に浸透しているイメージと同類のデザインイメージを利用しターゲットに伝えるための戦略が考えられます。

あるいは、そのエリア内で全く別のブランド価値を模索し差別化を見い出す、などのデザイン戦略を図ります。

 

 

 

対称エリアで差別化

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イメージ分布図を用いればライバル商品の少ないエリアも明確化するため、他社との競合を避け「大人に憧れる若者に向けた新感覚商品」、若年層向けのクールなイメージエリアに着目した商品開発など、コンセプトから見直し戦略も考えられます。

こうしてお客様とともに確認し、共有を図りながらコンセプトを築き上げていきます。

そうした確認作業を繰り返し、出来上がったコンセプトをどのような媒体で商品化し、どのような形で発信していくのかを考えデザインに取り入れます。小さなことですが、この共有をしっかりと行い足並みを揃えることでプロジェクトの方向性に軸を作り、その軸を元に展開します。様々な展開物で的を外さないようにビジュアル軸を構築することで

間違えないデザインができます。

この展開=Howどのように発信するのか?
に繫がり、特性=何を(What)誰に(Who)というところをしっかりと見据えた軸があってこそ、どのような(How)発信方法が有効なのかを選択できるのです。

 

 

 

 

ターゲット

誰に(Who)という中でも、大まかに女性、若者層という絞り込みの中には様々なグループがあります。

 

ターゲット別集中力(時間と媒体とターゲット)

本来、人と言うのは集中力の維持が難しいので興味のない長い文章などを読むことはできません。

ただ、この集中力は興味によって変化します。興味のない参考書の文章は一行でも、もういいや。と僕ならなってしまいます。しかし、自分が好きな作家さんの小説や友達の手紙なら長い時間をかけても一気に読めたりしませんか?

例えばこの集中力をターゲット別に3つのグループに分けます。

grup

Aグループに情報量の多いチラシをデザインしたところで中々うまくいきません。それはまだ、入口にしかいないからです。こういったターゲットには情報のシンボライズ化が有効と言えます。いきなり多くの情報を文章で読ませたところでまず興味という入口に入っていないターゲットでは必ず失敗します。そのため、初見のターゲットが手にしたチラシ(短時間)には、まず興味を引くことができるビジュアルを考える。
そしてC既に利用したことがある=すでに興味があるということは、もっと知りたいターゲットと分類します。このターゲットは長い時間を掛けて情報を知ろうとするので多くの情報を取り込む集中力があります。このようなターゲットにはパンフレットやWEBで多くの情報をしっかりと整理したデザインが有効です。

このようにターゲット(who)をしっかりと想定するとどの情報(what)ビジュアルをどのような時間媒体(How)チラシ?WEB?で伝えるのかがより明確化し有効なデザインを考えることができます。

 

 

ビジュアルだからこそ伝わる

人は基本的に集中できない。と記しましたが、その短時間の集中で伝えることをデザインは可能にしてくれます。そしてそれはデザインの本質であると言っても過言ではないかも知れません。秀逸なデザインは言葉を越え、言葉を巻込むものだと思います。

言葉だけでは伝わらないこと

実際のお仕事からその例を抜粋させていただきます。
『伸びる服』
この言葉だけでは『伸びる』ってことは伸縮性の高い服というイメージになりますが、『伸びる』という言葉だけでは洗濯したときに伸びるというようなマイナスのイメージにも繋がるかもしれません。しかしこの言葉にこのようなアイコンを添えてみればどうでしょうか?
highkick
(DEEPER’S WEAR、HighKickシリーズの商品ブランドアイコン)
服の伸縮性という商品の利点が正しく伝わりますね。またこのアイコンを入れることにより文章を少なくし読み易くしているのです。余計な文章を削ぎ落としシンプルにするだけで、言葉が意味を瞬時に伝え、文章を読み易くするのです。

 

 

 

伝えることの裏側に隠されたコンセプトメイク。このコンセプトをしっかりと形にするために発信していく方法として記憶に残ることで触れた継続性や意外性が重要とされ、そして大切な商品情報を正しく伝えるための優先順位を整理し、読み易くすること、そして一つのビジュアルとして美しくすることで、より伝わるデザインとなると考えています。

コンセプトだけではなくまた技術だけでもなく、小さな一つ一つの要素を総合して伝わるデザインができ、そして機能します。

デザインは動くことも言葉を発することもない。しかし、人の言葉を代弁し、伝えるためにこそあるものだと考えています。私がデザインをするうえで最も大切にしていることは、デザインの先の相手を想像し、そこにコミュケーションがあることです。

 

 

あとがき

5回に分けてデザインについて触れてきた 『デザインでできること』

部分的ではありましたが、その技術や考えについて記してみました。

日々お客さまの抱える問題と対面し、どのようにすれば正しく伝わるのか?そのことにいつも頭をひねり創造する毎日です。人がどう思うか?という感情の部分に触れるデザイン。その答えはいつも不確かなものです。その不確かなものをカタチとし発信するための解は、自身の経験や知識、デザインという枠の中では収まりきれない世の中を知るということであるということに直面し、日々努力の毎日です。

先に触れた『子供が描いた絵』にハッとする。練り上げられたコンセプトよりも、不確かな一瞬に心奪われることもあるのがビジュアルです。言葉では説明のつかない力は確かにあります。デザインはアートとは違うものになると思いますが、理論や技術に溺れすぎない様にデザインと向き合っていかなければと最近はよく思うこともあったりします。

 

まだまだ微力ではありますが、何か皆様の手助けができれば幸いです。

 

 

www.firsty-g.com

他記事へ
1.美しくすること

2.記憶に残ること

3.整理すること

4.読み易くすること

5.伝えること(現記事)

デザインでできること