何を基準に物を買うのか

 

みなさんは物を買う時、ヒトに頼む時に何を基準にしていますか?

値段や品質など様々理由はありますが、信用ということも大きな理由の一つではないですかね。

その信用ってなんですかね?

これは知っているということが大きいと思います。
知人だから頼んだ。友人がいいと言っていた。テレビで見たことがある。ネットで好評だった。雑誌で紹介されていた。その物に対する情報があればあるほど信頼性の順位が上がります。

好きか嫌いかの判断に『知っている』ということが大きく関わってくると思います。
 
 

ラーメン、つけ麺、僕イケメン!

 
ぼくは以前から面白いなと思っていた人物がお笑い芸人の狩野英孝さんです。

今では売れっ子芸人の一人ですよね。ぼくも大好きです。

でも狩野英孝さんってこんな人気者でしたっけ?最初にテレビに出て来たトキってどちらかというと、「気持ち悪い」「ナルシスト」みたいなイメージで特に女性層の指示を得ていなかったと思います。

では何故、狩野英孝さんは嫌われ者から人気者になったんでしょうか?

狩野英孝さんが某番組で何度もどっきりを仕掛けられて、そのナルシストなネタと性格で女性層の反感を買っていました。しかし、どっきりを繰り返し仕掛けられ様々な芸人さんにいじられているうちに、「天然でいじられたら面白い!ずるい!」「狩野英孝はピュア」と芸人さんから言われるようになり、狩野英孝さんのナルシストな性格があまりにも行き過ぎていて、「本当にバカだなあ、でもピュアな性格だな」と認識するようになりました。これは芸人の評判という情報と狩野英孝さん自身の性格という情報が何度も重なった。『芸人狩野英孝』というより『狩野英孝』という一人の人が認知されたことで本当の魅力が見えたのかも知れません。

そうなると『ネタ』という接点から『人』という接点で繋がることになります。

「この人はこうやって笑え。」みたいな感覚を誰に教えられることもなく、頭の中の説明書みたいなものが出来上がった時に、面白くない→面白いに切り替わったのではないでしょうか。今ではマセキ幼稚園などといわれ、出川哲郎さんと肩を並べる天然愛されキャラですね。

おそらく日常でもこういったケースはよくあることだとおもいます。

・初対面で暗い人だなーと思ったけど、仲良くなるととても気なくな人。
・結婚式のお互いの初印象は?チャラい人。でもよく知るとすごく一途で誠実でした。

みたいに相手を知れば好きになることって多いと思うんです。知ってもらうってすごく重要ですね。そして深く愛されるためには必要なことですね。

これはブランディング設計の一部分にすごく似ています。
『ユーザーの頭の中』と『企業の頭の中』がつながる接点を企業活動やクリエイティブを通じて繋げます。
知ってるということは何も愛されるという効果だけでなく、さまざまなところで利点を生みます。

目に見えやすい価値

その一つは価格です。ブランドと聞いて『物の価値をあげて高く売る』ようなイメージに直結しがちですが、それだけではありません。
商品の値段や売り上げは変わらすとも、知ってることで生まれる目に見えない利益はたくさんあります。

例えば、サービスの質と評価です。

A.5万円で買ったハイヒールのかかとがすぐ壊れた。
B.1,000円のヒールがすぐに壊れた。

「10万円もしたのに価値がないわ。」
「1,000円だから仕方ないわね。」

と評価は変わると思います。同じマイナスイメージでもその評価の落ち幅は違いますね。

ここで10万円のハイヒールが壊れた旨をショップに連絡したら、店員さんが即日新品を用意してくれた。というヒストリーがあったらどうでしょうか。

「さすが10万円もするだけあって対応は親切ね。」
と相応の評価を取り戻せるかもしれません。

ハイヒールは価格相場がわかりやすい商品ですが、今度は価格価値がわかりにくいサービス。
それに付随するお話を少し。
 
 

目に見えにくい価値

 
商品のように定価がないサービスは見積もりが必要ですね。うちの「サービスは高価なサービスだ。」と思ってはいるものの、ユーザーとの頭の中が結びついていないと、価格間の大きくずれた相手とやりとりをする機会が増えます。

同じ売り上げ100万円(それぞれ1件20万円)
A.見積もり10件に対して5件の成立。
B.見積もり50件に対して5件。

同じに見えて
見積もりに掛る時間は1時間。スタッフ1人の時給が3,000円と仮定した場合。
50件=50時間×3,000=150,000円
見えないところでこれだけの人的経費がかかっています。

つまり
Aは利益として97万円
Bは利益として85万円

またスタッフ1人の時間が削られることによってほかの作業が止まり生産性低下。
問い合わせをくれたユーザーからは、『高い』という誤解による印象を残してしまいます。
 
ブランディング=イメージアップ
得体の知れない効果に『?』を抱いている方も多いと思いますが、
見えない効果を数字にしてみると面白いですね。

ここで、サービスの質が高品質高価格とユーザー側が認知した上で問い合わせが入っていれば
Aのようなパターンに近づけやすいです。
初めから安価なサービスを求めるユーザが少なくなるからです。
 
 

数字=効果?

 
広告をだして問い合わせが増えた。webマーケティングを行いアクセスが急上昇した。
数字が出たことが単純に、プラスになっているかは別の話です。

私自身も問い合わせが増えたことにより、気持ちが高ぶった経験はありますが
裏を返せば手間が増えた。負担が増えた。利益が下がった。

ということを実体験したこともあります。

『知っている』=頭の中のイメージが結びつく効果は計り知れない目に見えない利益を生みます。
また、この『知っている』の深度を高めることによりさらなる効果を生み出すのですが、
それは資料数十ページに及ぶお話になるので、しっかり聞きたい人にプレゼンしてきますね。

ユーザーの求めることと、企業の頭の中をつなげるコミュニケーションがいかに利益をもたらすかを知ると
デザインの役割と効果がなんなのかが見えてきます。

以上『デザインはカタチを通じて翻訳すること』