「デザインの見積もりって、値段違い過ぎません?」

例えばクラウドソーシングでロゴが2万で数十案、デザイナーに頼めば数案で数十万。どうしてこんなに違うんだろう?

「それは質の違いだからだよ!」

「ふーん、でその質の違いってなんなの?」

「と、とにかくかっこいいデザインはたかいんだよ!!」

お客さんはデザインの相場が不鮮明なことに迷うことがありますが、実はデザイナー側もデザイン料金の見積りには悩むことがあります。私の場合デザインの料金表みたいな、見積もりのテンプレートはありません。それは一件一件用途や予算に応じて、見積もりが変わるからです。

私もデザインを始めた当初はデザインの価値、安いデザインと高いデザインの違いに頭を悩ませていたトキがあります。

最近私はデザインをするうえで親切かどうか。豊かにするかどうかが大きな判断基準にあります。私の経験から出た回答として

 

安いデザインは財布に親切!

高いデザインはお客さまに親切!

 

ということです。今回は作り手の立場もふまえて、書いてみたいと思います。

名刺デザインを例にとってお話をしますね。
A.一万円300枚の名刺デザインです。紙は一般的な用紙を使って印刷します。印刷費も安価です。

B.5万円100枚の名刺デザインです。紙は黒く分厚く重厚感のある紙で、印刷方法には箔押し、そして四辺に銀色のインクを塗り合わせた特殊加工を施してします。印刷費は割高です。

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Bさんの名刺(私が現在使っている仕様)

このままではBはかっこいいですが、それ以外の魅力って感じないですね。配るコストも気にしてしまいます。

では一つこの両名刺に体験を与えてみましょう。

 

 

デザイナー、一郎さんと五郎さんの名刺交換物語

場所はビジネス交流会。たくさんの方々と名刺交換をします。

登場人物

Aの1万円名刺を配る一郎さん(人見知り)
Bの5万円名刺を配る五郎さん(同じく人見知り)
共にPCと向き合って来た腕はいいがコミュニケーションが苦手なデザイナーとします。

名刺交換の場所では限られた時間でより多くの人と名刺交換をしたいと思う方が多くいます。もちろんビジネスに繋げたいと思っている方が大半でしょう。A一郎さんB五郎さん共にたくさんの方と名刺交換ができました。その中身について

A一郎さん『たくさんの名刺交換ができて満足でした』

B五郎さん『たくさんの名刺交換ができ、たくさんの方とお話ができて満足でした』

結果として両人ともたくさんの名刺交換できたものの、五郎さんは名刺を話のきっかけに人見知りながらたくさんのヒトと話が出来ました。一郎さんは持ち前の人見知りを発揮し、中々会話の糸口を掴めませんでした。

ビジネス交流会での名刺交換って、結構一瞬の時間で終わりません?しかも何を話していいやら?見ず知らずの他人が合うのですから、何か話のきっかけって必要ですよね。そんな時に渡した名刺が特徴的ならどうですか?話のきっかけになりますよね。人見知りさんって、こういうところをいじってもらわないと、中々きっかけつかめないんですよ。

ビジネスって何を提供出来るかっ、て勿論大切ですけど、このヒトと仕事がしたいっ、て言うのもそれ同様に大切なことだと思います。そのためには口べたでも、何か話をすることがとても重要ですね。

またこの一瞬で、自分のセンスをPRするきっかけにもなりますね。Aの名刺のデザイナーとBの名刺のデザイナーどちらが好印象を与えてくれるでしょうね。

さらに名刺交換は、ここまでに終わらず。名刺交換をした後は多くの名刺を持ち帰りますよね。それって自分だけでなく渡した相手も同じです。

この会場に来ていた株式会社C社の三森さんは、その2月後にデザイナーが必要な案件が発生しました。その時に、そうだ!以前交流会で名刺をもらったぞ!と名刺ボックスを探すわけです!その時に見つけ易い名刺ってどれですかね?

例えば写真の様に、横から見た時に断面が一際大きくシルバーの断面なので、見つけ易い上に、『確かこれデザイナーだったな』ってなんとなくすぐわかりますよね。

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同じビジネス交流会に参加した、同じデザイナーのA一郎さんとB五郎さんですが、B五郎さんは見事ビジネスのチャンスを掴み、A一郎さんは逃してしまいました。
ちなみに、そのデザイン案件で得た報酬は50万円

一万円の名刺で50万円を逃し、5万円の名刺で50万円を得たのです。おしまい。。

 

 

 

長々とすいません!!この事例の様に実際に使うヒトのコト迄を想像し、使い手にとって価値を与えることをデザインの機能化と言っています。
『そのヒトにとって親切なのはどういったデザインか?』

デザイナーという職種の名刺をデザインするとなった際に、ぼくはこういった体験を想像します。その体験を想像すると親切な見積もりって5万円のほうかな、と思うのです。表面的な価値に捕われず、本来の価格対効果を見つめることが親切な見積もりかなあと。そのため、私はデザインの価格にメニューなどは設けていません。

使うヒトの予算やビジネス、目的に合わせて必要なデザインと見積もりを考えることが、重要であると考えています。

勿論、ただただ高い物を進めるわけではありません。その逆もしかりで、少ない予算でもより効果的な方法を提示するときもありますし、頂いた予算よりも少ない見積もりになることもよくあることです。そのため見積もりも、数通り出すこともあります。

追記

予算に頭を抱える日々。

これは、よくある悩みですが、例えばロゴデザインなどを引き受けた際にロゴだけではその効果を充分に発揮出来ないなあ。と経験から解ることがあるのです。名刺や広告に落とし込んで初めて機能するなと解っていながら予算の都合上、そこまで落とし込めないという状況もあることです。そこにストレスを感じている自分もいながらも、、無理矢理の予算捻出など勿論要求できません。そういったストレスを自分もお客さまも少しでも軽減できるようにお見積もりには頭を抱えなが何が親切であるかを日々考えているのが現状であります。少しでも親切なサービスを提供出来るように日々努力していきますのでまた何かのご縁がありました際はよろしくお願いいたします。