デザイナーと一口に言っても様々なタイプのデザイナーさんがいます。今回は、デザイナーにお仕事の依頼をしたいけど、どう言った方に相談すれば良いのか。。というお悩みをお持ちのかたに少しでも参考になればと思い記事を書いてみようと思います。(デザイナー目線)

◼︎デザイナーとは?

Designer. デザイナー(英: designer)は、視覚領域において意匠計画や図案、設計を手掛ける人のこと。日本で単に「デザイナー」という場合、主に視覚的な設計を行う人物を指すことが多い。

 

◼︎ではデザインとは?

デザインの語源はデッサン(dessin)と同じく、“計画を記号に表す”という意味のラテン語designareである。
つまりデザインとは、ある問題を解決するために思考・概念の組み立てを行い、それを様々な媒体に応じて表現することと解される。wikipedia参照

その言葉の多く視覚部分に触れる設計ですが、設計という意味では単にビジュアルを作る人以外の人もデザイナーと名乗ることがあり、非常に広い意味合いで使われていますね。

 

◼︎デザイナーの種類って

今回はその中でも、最も認識されているであろうビジュアルの部分を主に担当するデザイナーについて

  • グラフィックデザイナー
  • DTPデザイナー
  • WEBデザイナー
  • エディトリアルデザイナー
  • プロダクトデザイナー
  • 衣装デザイナー
  • 空間デザイナー など

多くの肩書きがあります。

似ているようですが、デザインと一口に言っても様々なジャンルのデザインがあります。
チラシなどの広告物をデザインするデザイナー、商品をデザインするデザイナー。ホームページをデザインするデザイナー。
お仕事のジャンルや専門性によって、名乗る肩書きを区別されている方が多いです。他ジャンルのデザインを複数こなすデザイナーさんもいます。

 

いわゆる絵を上手く描く人と想像する方も多いかもしれません。
私はデザイナーと名のっていますがあまり絵が得意ではありません。独自のタッチを生かした個性のある絵を描く方はいわゆるイラストレーターさんですね。元々は製作会社などでデザイナーとして活躍されていてイラストも描ける人は名刺にデザイナー・イラストレーターと名乗っている方が多いです。

 

 

 

今回は紙媒体を通じた広告物や商品、WEBなどの商業をメインとしたグラフィックデザイナーと言われるデザイナーについて触れます。

◼︎デザイナーのタイプ

アシスタントレベルではなく一人のデザイナーとして一定以上のレベルでお仕事しているデザイナーであることを前提としても、例えば大きく3つのタイプに分けてみます。(私は同業種目線で大体この3タイプが多い気がします。)

 

1.職人タイプ

グラフィックソフトの使用を得意としスピーディーかつ要望に沿ったビジュアルを柔軟に作り出すデザイナー

 

2.コンサルタイプ

マーケティングやブランディングを理解し、コンセプト設計や戦略をデザインで表現出来るデザイナー

 

3.アーティストタイプ

独自のタッチや表現方法をもっているデザイナー

 

すべてをグラフィックデザイナーといって良いかわかりませんが、PCを使ってデザインをするという意味で名刺にグラフィックデザイナーと名乗っている人もいます。

 

1.2.3のタイプにもそれぞれデメリットもあります。一概には言えませんが
1職人タイプ、クオリティーの高いビジュアルを作ることはできるがコミュニケーションが弱いタイプの方もいたりします。そういう方と話をすると『人と話すのあんまり得意ではないです』って話よく聞きます。戦略設計に弱いタイプの方もいます。
2コンサルタイプ、デザイン料が平均的に高いです。デザイン以外の企画提案も作業の中に含まれる訳ですから当然安かろう良かろうにはなりません。また、指示付きのデザインや、矛盾したワークフローを持ち出すと断れる可能性もあります。
3.アーティストタイプ、自分の作り出すビジュアルに強いこだわりを持っているタイプが多いので上手く付き合わないと難しいタイプです。そして応用が利きにくいです。たくさんの球種がある訳ではないですがその反面直球はものすごく早いです。この直球を上手く使えないと効果が上がりにくいタイプで、某美大卒の賞を受賞した人と仕事したけど、もめちゃって全然仕事にならないよ。なんて嘆きの声もお客さんから聞いたことは何度かあります。。

 

さらにこのタイプの中にお仕事の業種やジャンルごとに経験に伴った専門的な知識をもったデザイナーがいます。IT系のみを専門としていたり飲食系のみを専門としていたり編集系に強いデザイナーさんであったり。経験上1の職人タイプのデザイナーさんは得意ジャンルと専門性をもっている(打ち出している)タイプの方が多いと思います。

 

 

◼︎必要なデザイナーを選ぶには、自分が出来ないことを理解する

ここで依頼者がデザイナーを選ぶときに重要なことは自分たちが出来ないことを理解することです。それだけでデザインの成果は大きく変わると思います。

売りたい商品があるとしましょう。あなたには、すでにその商品を売るためのノウハウがあって、商品ブランディングを構築するだけの計画があり、それに伴ったマーケティング戦略を立てることができている。あなたにはすでにビジョンがある。そのビジョンをデザイナーに的確に伝えることができるならば、多くのデザイナーはあなたが望む形のビジュアルを作ってくれると思います。
そういう方は、明確な絵が頭に浮かんでいてる場合、1職人、3アーティストデザイナーの作品をチェックしてイメージにあったデザイナーを選ぶべきこともできますし、2コンサルデザイナーと肩を並べてビジョンを組み立てていくこともできるでしょう。

 

しかし、すべての方がそういう風にビジョンを完璧に持つことも、的確に伝えることもできるわけではありません。
例えば長年寄り添った夫婦間では『例のあれやっといて』で『あれ』が何かわかる。そんな関係性を長年にわたりデザイナーと築けているなら話は別ですが、実際のところ初めて頼むデザイナーにそれを望んでも難しいです。初めてのデザイナーに『かっこよくして』と頼むということは初対面の人に『あれやっといて』ということと同じです。
だからデザイナーはコミュニケーションを大切にし、関係性や、市場など様々な背景を聞いてきたり、デザインに取り掛かる前段階のステップを持っていると思います。逆にこのステップなしにいきなりデザインに取り掛かるタイプは危険だと思います。。。

 

デザイナーとお仕事する上でこの伝達や企画を立てること、ディレクションする能力があるかないか?このあたりで大きく変わります。

このあたりの能力がない場合はディレクションのできるデザイナーとお仕事をするべきです。(アートディレクター、クリエイティブディレクターと名乗っている方もいます)
実際これができる人が少ないためアートディレクターという職業が成り立ちます。

 

ディレクターは誰?

アートディレクターとはビジュアルの決定権を持った言わば監督です。ビジュアルを作る上での戦略に深く関わり、スタッフの選定や、ビジュアルに関する指示、最終的な決定など高いレベルでデザインの知識(撮影やその他の知識も)が要求されます。通常デザイナーとして、多くの経験と実績を積まないとなれまない高域なお仕事です。(ドラクエで言うところの賢者みたいな感じですかね。わかりにくいか。。)

さて実際のお仕事ではビジュアルの決定権はクライアントにあります。しかし、デザインの専門知識のないクライアントが、最終的な修正や細かい色の指示を出したりします。

これってかなり危なくないですが?

本来この指示はアートディレクターと言われるビジュアルの監督が出す高域な領域なのに、専門知識のないクライアントが指示を出している状況=アートディレクターになってしまっています。
優秀なデザイナーはあなたとあなたのお客さんとの関係性を見てそれに見合ったデザインをしてくれているでしょう。しかしあなたが選んだデザインはあなたのお客さんではなくあなた好みのデザインになっている。

なんてことが起きているとあなたのお客さんが満足するような売れるデザインにはなりませんよ。(クラウドサービスを利用した場合、数あるデザインパターンの中から選定する目が必要になってくるので、デザインを作るデザイナーより選ぶ側のほうがデザイン能力が問われている、という事も頭に入れておかなければならないですね。理由はたくさんありますが、個人的にはコンペという提案方法をあまりおすすめできないです。)

 

 

安かろう悪かろうが高かろう悪かろうにならないように

また、デザイナーも基本的にはかかった時間に対しての報酬を要求しますので、こういうこと繰り返してると修正費用もかさみます。値段を基準に2のコンサルタイプの人に依頼できなかったけど、結果的に「修正費がかさんでしまって、同じくらいの料金になっちゃった。」なんてことになると悲しいですね。修正がかさむのは始めに戦略がないからです。
経験上、代理店さんの仕事に多いですが、修正かさむことよくあります。コンセプトワーク作りの料金提案を断れた結果、鉄砲の乱れ打ち状態になってしまっていたりするとそりゃ修正かさみますね。
直接的にやり取りができないのが、その原因だったりします。直クライアントさんとのやり取りで修正あっても1.2回です。修正料の発生はほぼ記憶にないです。
高かろう良かろうは、デザインにも当てはまります。修正少なくスムーズに、尚且つ的を得た効果的なデザインへの投資を怠って、余計な時間・コストかけちゃうと勿体ないですね。。

 

 

◼︎自分ができないことがわかれば、作品だけで判断せず、コミュニケーションを取ろう

「美味しい商品は作れる!だけど売り方や魅せ方がわからない。」
そんな場合は、2のようなコンサルタイプのデザイナーに、戦略から考えてもらい任せる方がより良い成果につながるでしょう。1.職人タイプのデザイナーに相談しながら、戦略を考えてみるのも良いかもしれません。

まずは、『自分ができないことをちゃんと知る。できないことを伝える。』これだけで、デザイナーとの関係性を築くスタートになります。そして、できないことに対しての答えをもっているデザイナーさんとお仕事をすると、より良い関係性と成果につながるのではないでしょうか。できないことを話しても、それに答えてくれない、相談に乗ってくれないデザイナーさんはあなたには向いていないのかもしれませんから。ただし対価が見合っていないと当然お話しを聞いてもらえない可能性はありますよ。

デザイナーを選ぶ理由として、実績だけではわからないことがたくさんあります。実績に対して、そのビジュアルだけを作ったのか、戦略から作ったかでは大きな違いがあります。まずは聞いてみること。コミュニケーションをとることで、そのデザイナーとの相性もきっと見えてくるし、コミュニケーション能力の高さも感じ取れるはずです。それぞれ不向きなところにも焦点をあてトラブルなきようお互い気持ちよく、より良い制作と効果のある成果物をゴールに目指してください。

それではデザイナー選びやお仕事参考のお役に立てば幸いです。

ちなみに私は2のタイプです。

FIRSTYGRAPHICS 泊裕一
http://firsty-g.com/